志賀の魚やさん
「あら、久しぶりやね」リヤカーのおばさんに声を掛けました。
博多湾の出口にある志賀の島から魚を担いでやってくる「志賀のおばさん」です。
子供の頃から、ここの魚で育ちました。
我が家は母が大の魚好き、魚は志賀の島のおばさんか、柳橋商店街で買う
活きのいい魚でした。
食べるだけでなくさばくのも好き。
まな板の上の魚を、包丁ですーっと3枚に下ろすその手つきを見るのが子供のころ、
とても楽しみでした。
私も見よう見まね、しめ鯖なんかは自家製で作るとおいしいので1匹買ってきて
作ります。
サヨリを2枚に開いて塩と日本酒に漬け、一晩陰干しにしたのなんかはとても
美味しい!
時々川端商店街にやってくるおばさんの魚は最上級、子供の頃うちに来ていた
おばさんとは違うけれど、顔を見れば買ってしまいます。
商売の原点だなーといつも思うのは、次に会ったとき必ず「この前の○○は
どうでした?」と聞くこと。
「おいしくなかったら次から買って貰えませんもん」といつも言います。
魚、特に鯛について、ずい分このおばさんから勉強しました。
「どうしておばさんの鯛はおいしいと?」
「鯛はですね、海が深いとおいしゅうござっせんと。岸の近くでないと
いいエサがないけんです」
「若い漁師は遠くまで釣りに行きますけんね、私は見える所で釣る年寄りの
漁師からしか買いません」
「それだけじゃあないとですよ。しめ方がうまくないとダメです」
(これは私も知ってます。釣ったあとの血抜きのこと)
「ヘタな漁師はいくらやってもヘタ、しめ方のうまい漁師からしか私は
買いまっせん」な〜るほど。
魚の旬は年に2度あるとか、持つとぐんにゃりする魚がしめ方上手、
つっぱるのはヘタな証拠とか。

でも、イサキだけは氷に弱く、すぐに突っ張るのでこれは100円引き。
(安くても私は買いませんが)
「新しければ美味しいと思っとんなさる人がおるけど、それだけじゃダメです。
突っ張るのが新鮮というのも違いますと」
なんにしても、その道のプロの話は面白い。
近海ものの魚は本当に美味しいですね、ちょっと高いけれど、
もうたくさん食べる訳でなし、少しでいいから美味しいものが食べたい。
せっかく博多に生まれたんですから。
今日は釣りではなく網なので安い、でも刺身になります、というので
大きいのを1匹奮発しました。

