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2010年06月26日

梅雨の候

季節の過ぎ行くのは早いもの、しとしとと長雨の続く日々となりました。

かあっと太陽が照りつける真夏の前に配置された、緑が映える梅雨の候。

決して嫌いな時期ではありません。


博多駅には早くも七夕の笹が立てられ、「どうぞ願い事をお書き下さい」と短冊も添えられている。

一つ一つ見ると、やっぱり若いひとの筆跡が多く

「就活がうまくいきますように」「○○ちゃんと結婚できますように」といったものが

あるのは思ったとおり。


でも、意外に?みなさん心が広く、「口てい疫が収まりますように」

「平和な世界が来ますように」

更に「ここに書いてあるみんなの願い事が叶いますように」には感心してしまいます。

これを書くには、荷物を置いて手を空け、短冊の下に何か台になるものを当ててから

書く、といった手間がいる筈。

そこまでして他人のための願い事を書くということは、私には思いつかないことでした。


人の優しさに触れるとほんわか嬉しい気分になる。


車窓から見る雨の景色もひとしお胸に沁みて、心の重心が下がり落ち着いた気分。

どの田にもうす緑の小さな稲がずらりと並び、黒い水面に雨が落ちる。

雨具を着て稲を植える人は、育ちの悪いところを補充しているのでしょうか?


田植え後の美しい風景には、細く落ちる小雨が似合う。

山の木々も雨に濡れ、美しい緑を見せて柔らかに連なる。

時は小昼。


雨もまた良し。


仕事の合間に見る田園風景に心癒されて、ああ幸せだと思えることに感謝する。


私の生まれた国、日本は美しい。

ame_R.jpg

2010年06月05日

Tさんを悼む

久しぶりに山道を歩いていると携帯が鳴ります。

リュックから出すあいだに鳴り止むかと危ぶんだけど鳴り止まない。


おや、Tさんからだ、珍しい。

出ると女性の声で、「私Tの家内です」と言われる。


悪い予感。

思ったとおり、「先週Tが亡くなったんです」と続く。


体調が悪そうなのは察していました。でも、そこまでとは。

Tさんはバードウォッチングの先輩です。

お会いしたことは数回しかないけれど心通うものがあり、メールでのお付き合いをここ数年

続けていました。


9歳の頃からの鳥好きだということで、何か分らない鳥の写真を撮ったときには教わる、という

やり取りの中にも、とにかく鳥がお好きなのが伝わりました。


「酒井さんのことはよく主人から聞いていました」と言われるのに、

「ああ仲の良いご夫婦だったんだ」と思うまもなく、電話の向こうの奥さんの声がたちまち

涙声になってゆきます。


4月の下旬、「南公園に行こうと思います」という携帯メールを頂いたのが最後でしたが

「結局駐車場がいっぱいで、帰って来ました。そして次の日の夜倒れて、1ヶ月の闘病のあと

亡くなったんです。かわいそうでした。」と仰る。


Tさんは、特にクマタカに詳しい方でした。

調査員として時々山に数週間入っておられたけれど、詳しいことは種を守るため秘密だろうと

私も遠慮して聞きませんでした。


でも今年のはじめ、「来年繁殖をする場所へヒナを見に連れて行ってあげる」という約束を

もらったのです。

ああ、果たされないままTさんは亡くなってしまわれた。


奥さんのお話を聞くと、「まだやりたいことがたくさんある。5年10年は生きていたい」と

言われていたとか。

「鳥の写真がたくさん出てきたんです。私が言うのもなんだけど、とってもきれいに

撮ってるんですよ。こんなに一生懸命にやってたのかと思って」と。

お礼と共に電話を切ったあと、だんだんにあの約束をされた背景が思われて

悲しくなってきました。


ピークまで登る気も失せて、下山します。


途中珍しくジュウイチの声。

荷物を降ろして耳を澄ませながら、「白い百合を送ろう」と思います。

男性ではあっても、白い百合が似合う方だったような気がする。


「儚いものですね」という奥さんの声がまだ耳に残る。


そう、この世ははかないものなのでしょう。


Tさん、あそこかな、と思ってる場所へ来年行って見ようと思います。

クマタカのヒナがもし見れたら、貴方の導きだと思います。


ハヤブサ。オスだと思ったこの写真を「これはメスです」と言われて識別できるようになりたい

という意思が生まれました。

hayabusa.jpg


その後勉強して、ようやく多少分ってきました。

これはメス

mesu.jpg


これはオス。

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感謝しております。どうぞ安らかに。そして、残されたご家族の悲しみが早く癒えますように。