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2017年10月31日

10月26日

ようやく晴れた10月の朝、マンションの玄関さきに小鳥の羽が散らばっているのを

見た。

ほぼ一羽分散乱しており、鷹の仕業だと思われた。

何かな、この時期だとハイタカかな。渡ってるよね、今ごろ。

ハイタカに思いを馳せながら、自転車通勤ルートを走る。

ああ、海を渡るハイタカが見たい。

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いつものようにまっすぐ行こうとして、いや待て、と思いだしたことがある。

赤坂の街なかに、ちんちくと呼ばれる生垣を巡らした民家があった。

黒田藩に仕えた中でも、下級武士の家は、立派な生垣を維持するのが大変で、ちんちくと

いう背の低い竹を塀の代わりとし、彼らは「ちんちくどん」と呼ばれたという。

 今は珍しいその生垣の民家を通勤途中に見つけ、そこを通るのを楽しみにしていたが、

ついに家ごと取り壊しが始まったのだ。お年寄りが住んでおられるんだろうと思っていた。

やはり壊されるのか。

信号を渡って住宅街に入ると、まだ無事。間に合った。

トラックが出入りする中、1枚写した。

IMG_1440_R.JPG

ここは福岡城からそう遠くはない。

どんな武士が住んでいたのだろう?

でも、壊されちゃうのか。

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ここへ立ち寄ると、あとは天神の裏通りを走ることになる。

居酒屋やお洒落な洋服店、博多ラーメンの店、と、雑然としている街は私の好むもので

ある。

整然とコンクリート造りのビルが立ち並ぶ街には、人の匂いがしないから。

久しぶりの晴天が嬉しくて、すっきりとした空気の中、まだ眠っている繁華街を走るのは

楽しい。

最後はビル街を通り抜け、那珂川を渡って中洲にたどり着いたとき、また鳥の羽である。

見慣れない大き目の羽。これは拾う。

2枚の根元がくっついていたから、何かに襲われて逃げる途中、抜けたのかもしれない。

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自宅には鳥の羽図鑑がある。 帰宅後調べる。

さて、どの科に属する鳥だろう。大きさから当たりをつけてページをめくるが、該当する

ものはなかなかない。
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探しあぐねて一番前のページから見ていくと、なんとヤマシギの尾羽であった。

先端が灰色だが、裏から見ると白く、これが決めてだった。

IMG_1441_R.JPG

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ヤマシギは、体長30センチ。冬の頃の草むらに隠れていて、人が近づくと飛んで逃げる。

飛び上がると、UFOのように水平に飛行する。

たまに出会ったとしてもいつも逃げられてばかりで、とても撮影はさせてくれない。

おそらく北の地方から移動中なのだろうが、よりによって、夜の繁華街、中洲に居た

とは。

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翌日、もう一度立ち寄ってうろうろ探すと、石の階段の端っこに、風に吹き寄せられた

2枚の小さな羽を見つけた。

IMG_1447_R.JPG

ヤマシギは、2枚の尾羽と2枚の小羽を残した。


本体はきっと無事だろうが、一体何が襲ったのか。 

30センチもある鳥だから、これを襲うのは???

・・・と考えるのが楽しい。

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10月26日、この日は何だか楽しい一日であった。

またこういう日が来ないかな。