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2014年04月20日

南の島で

3月は体調がすぐれず、気力も湧かない日が続いた。

                                         
4月は春の盛り、この時期にぼんやりしていては勿体ない。

ちょっと気分転換をしよう。

そう思って、石垣島の友人を訪れた。

                                         

                                          
空港から車で走り出すと、肩の力が抜けてゆく。

風は暖かく、南の風物は優しい。

                                          

夕刻、入浴している私の耳に、リビングで友人が爪弾く三線の音色。

ああ、この音階には人の緊張を解く力がある。

全身がゆっくりほぐれる実感。

                                            

                                             

夜中に何度か目覚めたが、そのつど庭へ出て、真っ暗な星空を見上げた。

北斗七星のひしゃくが、時間とともに角度を変えている。 

私たちが寝ている間にも、宇宙は動いているのだ。

                                              


朝の庭では、昨日は閉じていたバナナの苞がはらりと開き、可愛い花が覗いていた。


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天気が良い。 野底岳に登る事にする。

車から降りて15分くらいというから、今の私の体力でも大丈夫だろう。

                                             
                                         
                                             

見下ろすさんご礁の海は青く、サトウキビの収穫が終わった赤土の畑が眼下に広がる。

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カンムリワシが2羽飛び出して、手前の牧草地に降りた。

観察すると面白いだろうが、時間がないのが残念だ。

                                                  

                                                  

島の北へと車を走らせる。

ソフトクリームの車上販売が出ていて、気をそそる。

食べていこうよ、と立ち寄ると「ご用のある方は下の家に手を振って下さい」との貼り紙。

                                                 

2人で手を振ると、女の人が家から出て手を振りながら車に乗り込み、80Mほどの

距離を走ってやってくるしくみだ。

                                                 

この方のことは何かで読んだな。 牛を独りで飼って乳製品を作っているんだ、確か。

ソフトを食べながら話をすると、やはりジャージー種の牛を飼う人だった。

最初1頭だったのが、今では10頭に増えたという。

アルバイトの人は常時いるようだが、飼い続けるのは大変だろう。

                                                 

そうね、やっぱり好きでないと。

乳しぼりも、一日1回の所が今は多いんだけど、うちは朝夕搾ってます。

牛のためにはその方がいいから。

                                                
                                                

都会から来て牛を飼い、生計を立てるいうことの苦労を私は思ってみるが、

ご本人は全く力が抜けており、好きだからね、のひと言である。

                                               


                                               
島の人は遊びが上手、と友人は言う。

楽しみを見つけるのがうまくて、お金を使わずとも自然の中でゆっくり暮らしていると。

東京育ちの彼女も、島に溶け込んでゆったり日を送っているとみえた。

                                                
              
                                                

福岡空港からタクシーに乗り込むと、肩が重くなって緊張のようなもので身体が固くなる。

気のせい、ではない。

                                               

ああ、帰ってきたんだな。

これもまた良きかな。  仕事が待っている。

                                               

この日を境に、体調は上向いた。

幸いなる休日、幸いなる南の島。

世間は広い。 自分の周りだけがすべてと思ってはいけない。

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