原生林の春
目覚めたら久しぶりに体調が良い。 迷わず久住へ向かった。
ユキワリイチゲを今年は見てないのだ。間に合うものなら見たい。
男池(おいけ)からの原生林は、とても好きな場所。
久方ぶりだけれど、ここはいつも変わらず静かで穏やかである。
これは好きな木。 ここを通ると、いつも写真を撮ってしまうブナ。
下界は春爛漫だが、ここではようやく新芽が出始め、春が始まったばかり。
道は少しづつ高度を上げる。
尾根ではごうごうと強風が吹くが、谷間は静か。
小鳥たちの声がチュイチュイと遠くから聞こえ、ペアリングで忙しい彼らが、
思わず近くへ飛んでくることも。
小鳥の可愛さに見惚れる。
ヤブレガサ。
どこにでもある山野草だが、私はこれが開く前のつぼみ状態が好き。
もう開ききっていたが、登って行くとつぼんだのに出会う。
上は開いたの、下の写真はつぼみ傘。
今年も見られて嬉しい。
さて、ユキワリイチゲである。
登山道沿いに、咲き遅れたのが一つだけ。
イチゲの仲間は多いけれど、ユキワリイチゲは九州にしかないそうだ。
美しい花だと思う。 久住のスプリング・エフェメラル(春の妖精)。
どうにか出会えて、今年も春の儀式を無事済ませたような気分。 よかったぁ。
峠まで登ると、平治(ひじ)岳はまだ冬の表情だった。
これはこれでよし。 そう一どきに春になられては困るというものだ。
シロバナノエンレイソウ。
少ないと思ったら、今年はウサギが蕾を食べてしまったと聞く。
ヒトリシズカ。 この花にまで会えるとは思わなかった。
鳥好きの情報網もすごいけど、花好きな人達も同様なようで、すれ違った人から
興味深い話をたくさん教えてもらう。
趣味は人の生活を豊かにする。 今出あったばかりの人と、山道で小一時間も
話し込む面白さ。
そこで教えてもらった黄スミレを見に、熊本方向へ寄り道ドライブ。
良い一日だった。 心も身体も満足、深い深呼吸をしたみたいに。