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2011年12月31日

年の暮れに思う

いろんなことがあった大変な年だった。
                                             

友人が、韓国へ行くと街の中にいて上昇気流のようなものを感じるという。

また別の人は、中国でそれを感じたという。 みんなやる気に燃えていると。

それに比して日本では、先行きに対する不安でみな身を縮めている。

                                          

秋に、ブータンの国王夫妻が来日された。  

今年私が一番感動した言葉は、この若き国王から発せられた。

                                            

被災地の子供達を前に「龍を見たことはあるかい?」で始まる対話が交わされた、その中で、

「みんなの中にも龍は住んでいます。 大きくなっていろんな経験をするにつれ

 龍は大きくなっていくんだよ」という語りかけだったと記憶する。

「龍」には人格という翻訳がなされており、さすが上手だなと思ったが、ここは「龍」のままで

味わいたい。

偉大な神獣、自在に天に昇ることのできるものが私たち人間の中におり、

時を得たれば天に昇る。 そう考えるのが一番国王の言葉に添うように思う。

                                                 

自分の中に存在する龍を、いつまでも地に伏させることなく、水中に潜ませ続けるのでもなく、

いつかは天に昇らせたいものであると、切に思う。

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私たち一人ひとりは皆、宿題を抱えてこの世に生まれている。 人生の苦労という宿題を。

周りの人達に支えられながら、その宿題を一つひとつ果たして前へ進む。

悔いなく果たし終わらば、龍は天へ昇るだろう。

                                                

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閉塞感の中で生きることは、上昇気流の中で生きることに比べて数倍きつい。

辛いことは多いが、前を向いて進む心ざしを失わずに生きたいものである。

2011年12月18日

今日のハイタカ

川ぞいの堤防を走っていたら、頭上からいきなりハイタカが飛び出した。

低く飛んでいく背中が見える。 川に立てられた杭に止まるとみてこちらも停車。

                                               

今日は初めての場所を回ったが、運がいいようだ。

やがてカラスがやってきた。 タカを毛嫌いしている種族。

かすめ飛んでいるうちに、接近度が増してくる。

タカはカラスの方を向いて防戦するから、動きにつれて前後左右見せてくれて都合がいい。

                                                    


蹴り始める。

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尾羽を上げてかわす。

次の瞬間、まともに当たるかと思いきや、足は空を蹴っている。

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どうやらハイタカの方がうわ手だったのだろう。

                                             


なかなかに面白い攻防だったが、やがて嫌気がさしたタカの方が杭を降りる。

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脇から赤みを帯びた羽が見える。

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好きなタカの中でも、スマートさで最も勝るのはハイタカかもしれないと思う。

これがオスだったら最高だけど、まあ贅沢は言うまい。

                                                

こちらを向いて飛んできた。

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鋭い眼光と、空気を切るような直線の動きが美しい。

                                                  

堤防を降りて田んぼに向かう。 何か居ないか探してうろつきまわる。

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コチョウゲンボウ、今季初。

しばらく楽しませてくれたのち、低く飛び去る。

後を追って探したら、田んぼに降りた違うタカ。 おや、またハイタカだ。

                                              

背中に白斑のある幼鳥が、おそらくスズメを狙って待ち伏せしているのだ。

ビニールハウス越しに写させてくれた。

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やがて飛び去ったので、陰に置いていた車に戻って機材をしまいスタート。

回り込むと、あら、さっきの場所にまた居るじゃない。 早いお帰りね、そう言いながら念のため

双眼鏡で覗いたら、あれ違う。 白斑のない成鳥である。

こんな事ってあるだろうか、今年はどこへ行ってもハイタカがいっぱいの、すごい冬なんだ。

                                            

飛ぶところが撮れた。 ひょっとしたら、さっき堤防で会った彼女かも。

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2011年12月05日

台湾の旅・3

その日の午後、ようやく一番見たかった鳥を見つけた。

その名はカタグロトビ。

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トビといってもごらんのように、日本の「とんび」とは全然違う。

白い頭にグレイの背中、名前のとおり肩のあたりの黒い羽がアクセントカラーとなり、

おまけにこの、赤い眼といったら!

                                                


金門まではるばる来たのは、この鳥見たさと言っても大げさではない。

これなんだ、これが見たかったんだ、 私は!

美しいものが多いタカの中でも、これは素敵に美しい。

                                                  

電線に止まるのを下から狙って撮る。 じっと私を、赤い眼で見下ろしている。

近づくと飛ぶが、また先へ行って止まる。

何度も追ってくれる王さんに感謝しながら、時間も気になっていた。

3時までの貸切の時間が迫っているのだ。 しかし何も言わずに追ってくれる。

とうとう電線を離れ、カタグロトビは遠くへ行ってしまったが、私はすっかり満足していた。

                                          

ホテルへ着くと、10分近く過ぎている。

約束の金額に100元増して渡すと、多すぎると返してくる。

時計を指しながら、超過していると伝えるととても喜んでくれた。 翌日の予約も取る。

今日見たその他の鳥

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クビワガラス

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オニアジサシ


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オオバンケン


                                              


翌朝は飛行場付近をドライブしたが、前日に46種の鳥を見ている。

あまり期待もしていなかったが、さすがに新たな発見はなかった。

王さんなりにコースを考えたとみえて、公園で自転車に乗る。

広い公園を回って鳥探しというつもりだったようだが、あまり居なかった。

きっと、夏には多いのだろう。 この辺、やはりプロのガイドとは違うのだが仕方のないことだ。


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さて、金門に別れを告げて台北へ向かう。

ホテルに荷物を降ろし、ちょっと植物園へ。 少しの時間でも有効に使わなくちゃ。

残念ながら、期待したタイワンオオタカは居なかった。

代わりにコレ。

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ズグロミゾゴイだ。

                                                    


さて、今回のメインイベント、台湾同窓会との交流会。

かつての留学生たちは、日本語も流暢で楽しい時間だった。

福岡の後輩が、昨晩はとっても美味しい中華料理を食べに行ったと報告してくれる。

―― 感激しました、まあ7000円くらいでしたから当然かもしれませんが ――

―― あのねえ、大先輩は400円の夕食だったんだけどぉ ――

                                                

やがてエールの時間となり


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かつての青年応援団長が気合の入った指揮をする中

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昔の学生たちが皆、いい気分で大合唱。 むろん私も。

                                               


顔見知りの幹事が、「あんたが来年も来るなら、7000円の料理食べに連れてってやるよ」と言う。

高級台湾料理に台湾式マッサージの夜か、良さそうね。

                                                 


でも私ね、赤土に寝転ぶ牛やそのまわりをうろつく鳥たち、400円の食事の方を

また選んでしまうかも。

                                                  

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台湾の旅は、のんびりした豊かな時間であった。

2011年12月04日

台湾への旅・2

いよいよ金門島の朝が明けた。

                                                 

6時に起きるとまだ外は暗い。

カーテンを持ち上げると、おお、アオサギが黒いシルエットで飛んでいる。

日本で見る鳥がどれだけいて、固有の鳥がどれくらいなのか、すべて初めての

経験だから皆目分らない。

                                                  

暗いし、とりあえず双眼鏡だけ持って出たが、これが失敗。

灰黒色のノスリが飛んでゆく。 こんなの居たかな? でも記録ができない。

戻ってカメラを持ち、再度出発。

                                                    

ホテル周辺を見て回ると、いきなりアオショウビンを見つけた。

今回ぜひ見たい鳥の中にカワセミ族3種があるが、その筆頭なのだ。

それが、日の出とともに華やかさを増すブーゲンビリアの林に止まっているではないか。

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金門島ってすごい。

                                                   

コサギがやってきて、びっくりしたらしく飛び出した。

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青い。 トルコブルーの羽がひらひら舞って、チョウのようにあざやかに空気を切っていく。


                                                 

左側通行の道路を渡り、鳥がいそうな所へ入っていくと、にぎやかな声が茂みから聞こえる。

シロガシラ、ハッカチョウの群れ、そしてギンムクドリとカラムクドリの混群。

日本では珍鳥のクロウタドリも、ここでは留鳥なのだが、木陰から出て来ない。

春に見られる時、彼らはいつも開けた草の上に出てくるようだが、冬は生態が違うのだろうか。

                                                    

ハッカチョウ。 京都のお寺で、これが書かれた襖絵を見たことがある。

ははちょう(漢字は失念)、と書き込まれており、こんな鳥がいるのだろうかと思ったが、

絵師の眼は確かだった。

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左と右は大きさが違う。 小さい方はジャワハッカ?図鑑によれば。

飛ぶと白斑が出て目立つ。

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ヒメヤマセミ。

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見たいカワセミ族その2。 あっけなく2種見られて気抜けしてしまう。

繁殖期が始まっているので、オスがさかんに水へ飛び込んで魚をくわえてくる。

もちろん、メスへの貢ぎ物なのだ。 涙ぐましく、何度も何度もボチャン、ボチャンをくり返す。

これはこの日の行き先で何度か出会い、そう珍しい鳥ではないとみえた。

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空をバックに。

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林をバックに。  オスたちはどこでもこうやって、メスの歓心を引くのに腐心していた。

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捕まえた。 なかなか上手である。                                               

                                          

10時近くなったので、ホテルへ帰ってタクシーを頼む。

前述のように王さんと出会い、この、優秀な案内者と2人で島を回ることとなった。

                                                 
言葉は通じなくとも、半日一緒に行動すれば心は通い合う。

王さんは目が良く、鳥を見つけるのがうまい上、機微を察することにも長けていて、

こちらの動きにいつも気を配ってくれるのだ。

金門の旅が良きものとなったのは、ひとえに彼のお蔭である。

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ヤツガシラ。 ここ金門を代表する鳥。 農耕地や公園のあちこちで見かけた。