ハイタカの季節
ハイタカの季節となった。
この冬はとても寒くて暖かくなるのが待ち遠しく、北国の人の気持が分かったような
気になったものの、その後は急速に気温が上がってやっぱり九州である。
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さて、大好きなハイタカの渡る季節を迎え、小山に登る。
風の強い日には足もとを飛んでゆくと言うので、強風をついてやってきたのだが、
聞いた通りであった。
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まず、向こうの尾根筋を飛んでくるという、お決まりのコースなんて取らない。
横ぎわの藪の向こうにスイッと出たと思ったら、たちまち足もとをかすめて崖下に消える。
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この繰り返しで、カメラはあっても役に立たない。
ピント合わせ以前に、視野に入れることができないのだ。
珍しくファインダーに捉えた。
トリミングしてみた。黒っぽい個体でかっこいい。
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8分の1秒後のコマ。
分かりにくいかもしれないが、ピンボケ。
わずかの間にすごいスピードで移動するので、ピントがずれてしまう。
しかも今日は強風にあおられて、さらにスピードアップ。 それゆえに面白い。
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足もとにくると撮影は諦めて肉眼で追うしかないが、背中の色が様々であるし
崖下に消える際に尾羽の裏側が見えたり、ひらひらと蝶のように舞う姿が美しくて、
ハイタカ好きとしてはたまらない。
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これをただ一人小山の頂でやっているのだから、自分は変人であると思う。
しかもいい年をしていて、変人度はかなり高そうである。
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少しづつ、風の勢いがゆるくなってきたと見えて、空中を飛ぶものが増えてきた。
こうなると楽で、撮影ができるようになる。
写真としてはつまらないが、横からの姿。
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風にあおられながらの飛行。 目の上にある白い眉斑が後頭部でつながっているのが
分かる。
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緑の山がバックになると、ピント合わせは難易度を増す。
コントラストがはっきりしないと、レンズのオートフォーカスはうまく機能しないのだ。
レンズの真ん中に飛ぶタカを入れながら、ピントが合う瞬間を待つ。
合った、とその瞬間にシャッターを押すが、コンマ数秒の違いでずれてしまう。
手動で合わせられるほどには熟練しないので、機械に頼るしか能がない。
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あああ悲しいなあ、能がないなあ、と心でつぶやきながらのタカ見である。
まだまだ、シーズンはこれから。