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2011年06月22日

旧友からの電話

ある夜 自宅の電話が鳴った

この時間に架かってくるのはセールスか

はい、っと事務的に取る

ああ、もしもし酒井さんですか、とちょっとくぐもった男性の声 ―怪しい―

  ハイ(無愛想に)

声を出さずに受話器の向こうで笑っている様子 ―切ろうかな―

「私Tです」(おやおや、学生時代の同級生) ―一瞬で普通モードに戻る私―

「仕事で金沢に来てネ、Fと今一緒に飲んでるとこだよ」       

  わあ久しぶりね、元気だった?


                                                        
学生時代、山に登りたいと思い立ち、1年の冬に あるサークルの扉を叩いた。

4年生の大先輩から、途中入部だからよっぽど積極的に溶け込まないと難しいよ、と

言われ、ハイと返事したものの、夏山にしか登らないその部では積極性の発揮しようもなく、

実際には2年になってから実働開始となった。冬の間その部室で何をしていたかは覚えていない。


                                                       

部室といっても、壁も扉も実はなくて、商学部の地下のがらんどうを学生たちが勝手に占拠し、

ついたてや戸棚で仕切りをしただけのシロモノだった。

そんな自由な?時代だったのだ。


                                                      

そして春となり、いざ活動しはじめると、私は同級生の誰よりも山好きとなった。

3つほど掛け持ちしていたほかのサークルからは足を洗い、山ひと筋の学生生活が始まった。

だんだんに、山へよく連れて行ってくれる1級上の先輩たちと行動を共にするようになり、

先輩が活動から引いたのちには後輩たちと登った。 

冬山、沢登り、岩登り、何にでも興味があった。


                                                       
しかし、こうやって電話で話すとやはり同級生。懐かしい。

「俺はヨ、市民劇場でサ、趣味の演劇やってるのよ。去年は『からゆきさん』やってさ、

主役の娼館の主人役やったんだよ。 せりふ50分全部覚えてよ」

 おうおう、阿漕な主人ね?

「阿漕だけどさ、情もあるっていう主人の役よ」

T君は昔から情の厚い、男気のあるタイプ。 ロマンチストでもあって、歌もうまかった。

演劇か、彼ならありうる。 すごいな。


                                                        
「もしもしFです、何十年ぶりかな」と電話が替わる。

  あら、こないだ東京で同窓会したとき会ったじゃない?

「いや、行ってないんだよ。『私が九州から来てるのに金沢から何故来ない ?』って 酒井さんが

怒ったってあとから聞いたよ」

  ああそうか、メールで話したのよね、山の話したね


「こないだ鹿児島に旅行してね、帰りに博多駅で酒井さん思い出したよ」

  私だって、立山の帰りに金沢通過してF君思い出したよ   おうむ返し、負けずに言う


若い頃の友人って、なぜこんなにすぐ19はたちの頃に戻れるのだろう

「酒井でございます お世話になっております」なんて普段言っている自分とは別人が、

そこにいる。  ぶっきらぼう、乱暴な物言い。 学生時代の私だ。

楽しく話して、いつかの再会を約し、電話を切った。

そろそろ人生の第四コーナーを回る年齢。 通ってきた道は長いものになり、苦労したことも

人生の糧、と落ち着いて捉えられるようにもなった。

みんな思いは同じだろう。  

懐かしさにのみ浸るほどの歳でもないが、若くて無謀・荒削りだった頃をいとおしむ余裕は

出てきた。 以前は恥、としか思えなかったものだが。


ああ、また山に行きたいなぁ。 みんなでワイワイは無理でも、北アルプスや南アルプスの

稜線を歩きたい。 いまだに私たちの仲間意識が強いのも、お遊びサークルではなく運動の、

しかも時には命がかかる場面も生じるような環境だったゆえだ。

                                                       

でも、実現できる体力はあるかしら、とこの点になると弱気。


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2011年06月19日

梅雨日記

またも雨の土曜日


今日はなんとしても雨を出し抜こう。そう決めて家を出た。

東へ逃げるのだ。

北九州。一応インターを降りてはみるが、雨は止まない。


再度高速に乗って、関門大橋を越す。

どこへ行こうか  夏の鳥を探しに行くに決まってるんだけど。

よし、あそこ。


薄暗い森の中で小鳥の声を聞いていると、顔見知りの知人に出会う。

30分ほども話がはずむ。 

山口まで来て、こうやって暖かいつながりが持てるのは趣味の有難さだ。


今年夏鳥はどこでも少なく、昨年の猛暑で山に木の実が少なかったせいだとは知っている。

しかし、フクロウの巣箱利用が福岡西方沖地震の時と同様、今年も全くの成果不良と

いうことはここで初めて聞いた。


山中にフクロウ用の巣箱をかけておられる方が言われるに、地震のあとはこれで2度目の

歩留まりの悪さだったと。通常7割の利用度に対し、1割、10個架けて1個だけ。


どうしてそうなのか、理由は誰にも分らないことだが、2度同じことがあったのは事実らしい。

震災の被害は、人間のみではないのか。  しかも、はるか広範囲に。


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森を出て、更に東へ。  雨はみごとに止んだ。

田植え前の田んぼが並ぶ。 

キジの夫婦にカメラを向けると、メスはお構いなしにエサを探すが、オスはこちらを見張る。

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水を張った田んぼの上をツバメが飛びまわる

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高速で飛ぶツバメに合わせてカメラを振るのは面白い。梅雨の鬱陶しさを忘れてゆく。


耕運機のあとを追うアマサギが、畦で休んでいる。

亜麻の名のごとく、赤茶の夏羽があざやか。冬に真っ白くなるなんて信じられない。

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さいごに着いたのはハヤブサのいるところ。

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子育てで尾羽が痛んだ、メスが飛んでいた。

ごくろうさん。 繁殖失敗が多いと聞く今年、君は頑張ったのネ。

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さて、ここで夕刻となる。 帰ろう。

久しぶりに自然を楽しめた週末、梅雨の一服だったかな。

雨を出し抜いたゾ、フフフ。