十日恵比寿
新年会のあと、十日恵比寿へみんなで行った。
夜の参道に、驚くべきことに数百メートルの列がえんえんと続いている。
「これは福引の列?」
「いやいや、お参りの列です」
エエ―ッ
昼間来るのとは違って、夜は賑やかさと情緒に溢れている。
仲間と一緒なのもよい。
福笹を持つ善男善女でいっぱい、通るのがたいへん。
お堂に上がってお祓いを受けようと、申し込みをする。
すべて、並ぶ 並ぶ。たいへん。
受付で願い札を書いてもらうが、若い女の子が、毛筆で一字一字丁寧に書いてくれる。
「筆ペンで書くと怒られるんです。お宮なのに何だって。」
書道をやってるの?
「ハイ、教育大の書道科在籍です」
にっこり笑う顔が初々しい。
お祓いの番が来るまで、テントの中で待つ。
火鉢に炭がいけてあり、わずかな暖かさと炭の匂いと。
赤い炭がほろほろと燃えている。
すぐに番がやってきて、お堂の左手から登ってゆく。
大勢が座って低頭するうち、祝詞とともに白い御幣がシュッシュッと頭の上で舞う。
勿論、見えないけど。
次は巫女さんが鈴を振って、リンリンと清めてくれておしまい。
終わって出て行きながら、「あの巫女さん、美人だったね」
やっぱり。言うと思った。 お祓いはもっと厳粛に受けなさいよ。
さて、福引である。
十日恵比寿に来るのは、ほとんどこのため。
熊手を貰って、意気揚々と帰る。
店のカウンターに飾ってもらったが、横向きに寝せてある。
箒を立てるのはお客様に失礼と思って、気を使ったと見た。
反対側には、お客様に貰った大うちわ。 これも恵比寿くじの賞品である。
今年も良い仕事ができますように、パンパン。