« 2009年08月 | メイン | 2009年10月 »

2009年09月27日

南アルプス 3

ぱっと見

  男性は30代
  女性は40代

その日、小屋でお隣になったカップルです。


はじめはご夫婦かと思ってましたが、会話は恋人同士。

男性はなかなかのイケメン、女性はとてもチャーミング

そしてお話してみると、お二人ともさわやかに素晴らしい方たちです。


聖岳の頂上で、寝転がっていた人達じゃなかったかなぁ?

男性が「ああ、空が青い!」とつぶやいていたのが記憶にあります。


女性の方は、私と同じワンダーフォーゲル出身。

ずいぶんいろんな所を歩いています。あ、山ですよ、もちろん。

どうも話してみると、私と同世代のような感じもする。見掛けより年長?


推測。

山で知り合ったカップルですね

だって男性は東京の人、女性は長野在住だし

休日に山へ一緒に行くことがデートでしょう

かなりのロマンチストである男性が、思慮深く物静かな女性に惹かれている感じ

いろんな人生、いろんなカップルがあるんですねぇ。

次の日の早朝、周囲をきちんと片付けて出て行かれました。

3人で山の話をたくさんしました。一期一会、私にとっても意義深い時間でした。


さて、翌日は今までと違ってガスが出ている中の登山です。

上河内(かみこうち)岳、いつか登りたいと思ってた山。


南アルプスらしい、樹林の中の登山道。

ゆるやかな登りで心地よい。草モミジが美しく、ああ来てよかった、と思う。


DSCF3459a_R.jpg
                      かなり高年齢のグループでした


出あう人達も優しく、道をゆずったことに対する丁寧なお礼を一人ひとりから聞く。

南に下がってきたので森林限界が高くなり、ナナカマドの紅葉があちこちで

見られます。

DSCF3461a_R.jpg
                              美しい色!


下りには奇岩が門のように立っていて、岩には化石めいた模様。

DSCF3464a_R.jpg

DSCF3465a_R.jpg

素人ながら、海の底にあったことを示す証拠のように思える。


さあ、今日はどうしよう?次の小屋は近すぎる、その先へは行けそうにない。


考えながら歩くうち、カメラと三脚を担いだおじさんとすれ違います。

「この時間だと○○小屋まで?」「いえ、とてもそこまでは。どうしようかと思ってます」


「下るんなら5時間でダムまで行くよ」

この言葉で心は決まりました。

あと1日あるのだけれど、計画よりも先まで来ている。ここまでにしよう。


決めると帰心矢の如し。

だらしないなあ、そう思いながらも宿泊する予定だった小屋を素通りして下ります。


足がガクガクになる急な下り、ああ南アルプスはどこもこれだ。

そう思い思い、渓流ぞいのつり橋をいくつも渡ってようやくダムへ。

高度差1800M、4時間20分。足にマメができてる。


DSCF3470a_R.jpg

                 有名な、畑薙(はたなぎ)の大つり橋。

渡り終えるのに3分かかりました。高所恐怖症の人にはムリでしょうね、水面ははるか下。


タクシーが迎えに来ている、さあ文明の地に戻ろう。

そういえば、お風呂に入っていないとか、髪を洗っていない・きちんと洗顔ができていない、

そういう、普段なら堪らないことが何とも感じられない3日間だった。

気のせいとかじゃありません。

ほんとに感じられなかった。何ともなかった。

いったい、私たちの清潔習慣って何なのでしょうね?


ああ、でも充実した時間だった。


山はいつも変わらない。

私は変わる、でも山は変わらない。

・・2つともながらの素晴らしさ。    自然に感謝!


2009年09月26日

南アルプス2

「ハプニングがあってね、あした山を下りることにしたの」

聖岳(ひじりだけ)の頂上に座っていた彼女は力なくほほえみます。


昨晩の小屋で私と意気投合した3人組、その中でも一番元気な女性でした。

今日は2日の行程を1日で歩き、次の日には南アルプス最南端の山まで往復してくる、と

張り切っていたのに。


誘われましたが、初日に2日分を歩いた私にその自信はありません。

「それじゃあ、戻ってきたときに合流できれば静岡まで車で送るわよ」と有り難い申し出。


予約していたタクシーを、通信可能な場所でキャンセルしようと思ってた矢先です。


倒木を越えようとして岩で膝をぶつけたら裂けて、縫合が必要な傷ができた、血が止まらないと。


実に、山で恐いのはこういうアクシデント。


3人のうちただ一人の男性は脚が遅く、まだ到着せず。

彼は通常の日程で行くので、彼女たちより1時間以上遅れて出たし。

その後私が出会い、お連れのケガのことを伝えることができました。頂いた好意へのお返しが

できたかな?


結局、この3人は午後一緒になり、その日のうちに山を下りたようでした。


いろんなことがありますね。

彼らとはこうやって別れてしまいましたが、まあ自分のペースで行けばいいこと。


日の出とともに歩き始め、思いのほかきついアップダウンにアゴを出しながら

憧れの稜線を歩きました。


南アルプスは山塊が大きく、上り下りが激しいのが特徴。

北アルプスはもう少し年を重ねてからでも登れるかもしれないけど、南は急がなきゃ、

そう考えていたのはこのことが理由でした。


若かりし頃望見した赤石からの尾根は、決してゆるやかに続くものではありませんでした。

一つ一つの頂上を踏んではまた下り、今日は何キロ歩いたんだろう?

DSCF3425_R.jpg
                     こういうのをいくつか越えました


最近は百名山ブームで、ピークを踏む事に重きが置かれているような。

でも、私はこの稜線を自分の足で踏みしめたかった、自分の足で歩き通したかった。


今日の最後の大きなピークが聖岳、3013M。今回、ここが一番堪(こた)えた。

しかし、登ってしまえばケロリ忘れてしまうもの。

頂上の風は涼しく、越えてきたルートを望めばなんともいえぬ充足感に

「私だってまだ捨てたもんじゃないワ」と心広がる。


DSCF3432_R.jpg
                     向こうは赤石岳、昨日の写真の裏側が見えているのです
                      つまり、あれを越えたわけ。素晴らしいでしょう?

真っ赤に山を彩るのは、ウラシマツツジ

DSCF3426a_R.jpg
                     ウラシマは裏縞だとか、裏側を見るのは忘れましたが


さて、2日目も無事終えることができました。

今日は2時半、小屋着。

さて、今日の同宿ではどんな人達に会えるでしょうね?

2009年09月23日

南アルプス 1

秋晴れの青空のもと、昔からの夢だった赤石岳から南の稜線を歩きました。

大学3年の夏合宿、1週間の旅程の真ん中あたりだったでしょうか、

赤石の頂上に立って南へ続く尾根を眺め、「いつかあれを歩きたい」と思ったのです。

いつとはなく忘れ人並みに育児や仕事に追われたものの、再び山を目指すようになった頃、

この夢ははっきりとよみがえりました。5連休はまたとない機会、逃がさないぞ。

朝6時出発。 長大な尾根を登り始める。


南アルプスらしい深い樹林の中、眺望はきかないけど私は森の中が好き。

登山道脇にギンリョウソウ

DSCF3400a_R.jpg
                        寄生植物で葉緑素は作りません


気をつけてみると、木の間に鳥の姿。

ルリビタキではないですか!

冬の間楽しませてくれる青い小鳥たちがこんなところに。

DSC_0127c_R.jpg
                 今回機材は持っていないので これは以前の写真


やがて昼前ごろ、ようやく目指す赤石が見え始める。

DSCF3406_R.jpg
                    左が頂上 2つのピークの間あたりに出るのです

立派な山だ。 

南アルプスとは赤石山脈のこと、赤石岳はその盟主であるといわれるのもうなずける。


さあて、ここからが急登でした。あえぎあえぎ登る。

感じよい青年に追い越されます。避難小屋泊りだからと水場で大量に汲んでいる。

今日の目的地を言うと「わ、それは大変だ」と力づけられて。

DSCF3411_R.jpg
                ようやくに稜線  右側奥のピークが頂上

高度差2000Mを1日で登ったのは初めてです。我ながら頑張ったァ―


北へ連なる3000M峰・中央アルプス・御嶽山(おんたけさん)・乗鞍・北アルプスと、 

日本の背骨のほとんどが見えるこれ以上ない眺望は、贅沢そのもの。

ああ、来てよかった。この快晴のチャンスを逃がさないでラッキーだった!


頂上に落書き「ドコモは◎、○○は△、〜×」

え、と携帯を出してみると通信可能。(ドコモです)

早速家族や友人に「今頂上よ」とメール。

ところが、左手の親指がへなへなと動きません。荷物の重みで腕ごとマヒしてる。


さて、ゆっくりしていたいけど、もう2時をまわっている。急がなきゃ。

今日の宿泊地、百間洞(ひゃっけんぼら)へと下ります。

DSCF3418a_R.jpg
              山の陽は翳りはじめ、登山者たちを心細くさせる


4時半到着。 10時間半、ほとんど休みなく歩いたゾー

沢で顔を洗うと塩辛い。心地よい汗に幸福感、そして美味しいビール。

夜は満天の星。