« 2012年05月 | メイン | 2012年08月 »

2012年07月24日

旭日岳

「せっかく来たんだから」

コマクサ見物のあと数日後、また山に登ることにした。


                                              
大雪の最高峰、旭日岳である。

北海道に来たら、やっぱりこの山でしょ。

                                              

ロープウェイでぐーんぐーんと登ってゆく。 目の下には新緑の木々。

降り立った山頂駅から頂上まで、約2時間。

だらだらと登る山より、急傾斜をふうふう行く方が好き。

                                              

P1000555_R.jpg

少しずつ高度が上がる。 噴煙が硫黄くさい。

                                             

P1000559_R.jpg

山頂直下にある、「金庫岩」。  先ほどの噴煙が眼下に見え、遠く旭川は雲の下。

山登りの醍醐味は、やはりこの眺望にある。

                                                 

山頂からの眺め。

P1000563_R.jpg

九重と同じく、火山性の丸っこい、穏やかな山容である。
                                                    


P1000531_R.jpg
これは先日、逆方向からこちらを見たもの。 北側と南側では雪の残り方がこうも違う。


                                             
山頂からは急な下り。

細かい砂礫の急傾斜は、足元がおぼつかない。 あれあれ、とうとう転んでしまった。

また転びかける。 いけない、こういう時はひと息いれなきゃ。

なんとかふんばって更に下ると、今度は雪渓。

P1000566_R.jpg

                                             

雪は腐ってザクザクだが、滑りやすくてこれも難関。 ピッケルもストックも持っていないし。

人の足跡をたどろうと思うものの、滑って下りた跡ばかりで役に立たない。

こういう時は、足を雪面にフラットに置いては滑るのだが。

先をゆく人達も難儀している。

                                                

ちょっと傾斜が楽になった。 かかとを蹴りだしてバランスよく下る。

よし、コツがつかめた、もう大丈夫。

ザクザク、と、がに股で調子よく下り、ストックを突きながらものろのろ歩いている人を、

素手で快調に追い越してゆく。  気持ちいい。


                                                    

こうやって登った旭日岳だが、本当の目的は後半にあった。

また高山植物である。

山すそに広がるお花畑は、「日本一」の広さだという。

しかし残念ながら、稜線に咲くチングルマは、半分散っていた。

P1000568_R.jpg
 散ったばかり。 花の時期は、あっという間に過ぎるのだ。

                                              

思ったとおり、山すそのお花畑は2日前ならば、というところ。

P1000589_R.jpg

でも、まだまだ見事なものである。

                                                    

雪渓が消えかけた場所では、早くもリュウキンカの花が咲き誇っている。

P1000583_R.jpg


この生命力の強さよ。

そして私の足も、先日よりはずいぶんと快調だった。 

年齢を重ねても、生命は常に前を向くとみえる。

・・・頑張らなくては・・・・

P1000544a_R.jpg


2012年07月22日

コマクサ

高山植物の中で一番好きな、いえあこがれてると言ってもよい花、それはコマクサだ。

もう何十年見ていないだろう。

                                                    

ぜひとも見たい。  そう思って北の地、大雪山へ登りに行った。

                                                    

初めての場所では緊張が大きい。

恐る恐る、といった感じで登山口から登りについた。

あ、熊よけの鈴がリュックに入ったままだ。 でも、周りは意外に着けていない。

ではこのまま。

                                                


7月というのに緑の色が浅い。 ここではまだ新緑である。

樹林を登りつめると雪渓が出てきた。


P1000504a_R.jpg


                                            
さて、そろそろのはずだが。

                                              
岩礫のあいだで風に震える、濃いピンクの花。

1342752050111a.jpg


わ、咲いてる!

心が弾む。 これが見たかったんだから。

                                                 

もっと登ればたくさんあるはず。

勇んで進む。


                                                  

森林限界の上、ハイマツしか生えない岩と砂の世界に、美しいコマクサがあたり一面咲いている。

なんという美しさであろうか。 夢のようだ。


P1000543a_R.jpg


北アルプスのコマクサ群生地は、少なくとも1泊の行程を経ないと見ることができない。

しかしここでは、日帰りでたどりつける場所である。

北の地であるゆえの豊穣さであろうか。

もちろん、盗掘を防止するためにロープは張られているが、登山者は皆お行儀よく

マナーを守って歩く。

                                                

この山の高山植物の豊かさは、コマクサにとどまらない。

                                                     


P1000524_R.jpg

                                         イワブクロ

                                                     

P1000526_R.jpg

                                        キバナシャクナゲ

                                                     
P1000519a_R.jpg
 
                                         エゾツガザクラ

                                                     

稜線へ出ると咲いていた、ウルップソウ。 もう盛りを過ぎていた

P1000532_R.jpg


最初は、コマクサが見れればそれでよし、という気持ちだったが、そこはそれ、行けば

もっと登ろうと、欲が湧くものである。

4時間の行程となる白雲岳までの道のりを、体力不足を感じながらも登ってしまった。

                                             

大雪山は火山であるから、九重と似た地質であり登りにくい岩がちの道である。

しかし、氷河が存在したという事実が、決定的に違う風景をもたらしている。

P1000506_R.jpg

池塘(ちとう)の散在する、岩と雪の山岳、それがこの山の魅力と思えた。


                                                 

体中から出た汗に心地よさを感じながら、筋力とスタミナの足りなさを反省もしつつ

無事に降りついた。

                                                 

初めての山は、緊張だけでなく感動も大きなものだと知った。

素晴らしい一日であったことを大自然に感謝。


P1000541_R.jpg