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2009年06月08日

菩提樹咲く戒壇院

「菩提樹見に行きませんか?」と電話を頂いたとき、不覚にも「そんな映画があったっけ?」と

考えてしまいました。


でもこれは本物の菩提樹の話、花が咲く頃にはえもいわれぬ香りがするから、行きましょうと

いうありがたいお誘い。

菩提樹ってインドにしかないのかと思ったら、近くの大宰府・戒壇院にあるのだというのです。

こういう話は2つ返事でいつも乗ります、「行きま〜す」。


その日が近づいたころ、さらに新たな企画が加わります。


戒壇院とは、かの鑑真和上が僧侶を育成すべく設けた由緒あるお寺なのですが、

今も残る戒壇の前で座禅をさせて頂こうと。

え、今ヒザが痛いしちょっと、と抵抗したのですが、生まれて初めて座禅も組ませて頂くことに

なってしまいました。


・・当日早朝。

戒壇院の敷地に初めて入ります。

由緒正しきお寺、ということは知っていてもなかなか今までご縁がなくて。

ま、地元ってそんなものですよね。


雨上がりのお庭に、いたいた友人が。

福岡にたくさん残る史跡を、「なぜ地元の人は関心が薄いのですか、もったいない」と

掘り起こし、さらに古代史同好の方々に旅行企画として紹介する仕事をしている、

偉大なるわが後輩。


かの菩提樹は、咲き始めたばかりの小さな花を枝いっぱいに下げ、なんともゆかしい香りを

境内の隅々にくゆらせています。

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想像したとおり、かんきつ類の花に似た香り。でも、かんきつ類の花はこんなに濃厚には

香りません。

お釈迦様がこの下で悟りを開かれたっていうのも納得ですよね、と彼女、私も同意。


古典を習い始めたころ一番に好きになった歌

     さつき待つ 花たちばなの香をかげば
              昔のひとの 袖の香ぞする

は、やはりこういう香りだったのか。橘より菩提樹の香りの方が歌にぴったり。

 〜 昔のひとって、勿論恋人ですよ。


さて、お堂の中に入らせてもらいます。

見上げるように大きなご本尊も立派ながら、戒壇にやはり目が行く。

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友人の話では、戒を授ける寺院は日本に3箇所しかなく、ここは東大寺・下野の薬師寺と並ぶ

3戒壇院であるけれど、戒壇が残っているのは当所だけだと。

鑑真和上が初めて戒を授けたのもここだとか。


エーッそんなところでヘナチョコの私が座禅なんてしてよいのでしょうか〜?


やがて衣を着た和尚さんがこられて座り方の指導。たった3人で贅沢なことです。

私は何度もご指導をうけてしまう。 ほら、やっぱりヘナチョコだから。


横から見たときにL字型になるよう座り、鼻からだけ呼吸、ゆっくりゆっくり持ち上げるように。

肩の力を抜いて腹でじっくりと座ると、これはもう何があっても動じない姿勢だと。

視線は45度、と言われてうかつにも上方45度と思い、またご指導。下から45度でしたか―


最後は、みなさんちゃんとできてますと褒められて無事終了。

これを毎日5分でよいから続けると、人間が変わります、と言われる。

健康法でもあるのでしょうが、人間が変わるというのはやはり精神性の方でしょうね。


その後お庭を見せてもらいますが、京都と違って誰も居ないのがいい。

静かな中を池にまわると、黒いカエルがきゃっと言うなりどぼん、と飛び込み逃げてゆく。

ほんとにきゃっと言いました、私のほうがびっくり。

遠くでホトトギス、雨にしっとり美しい緑、こころ洗われるひととき。


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菩提樹の香りが立ち込める素晴らしい朝でした。