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2013年06月23日

誕生日

誕生日を、旅先のホテルで迎えることにした。

以前から気に入りの、湖のそばの、何もない所に建つ小さなホテル。

                                                

携帯も通じない、テレビもない、でもご飯が美味しくてもてなしが上手なところ。

窓を開けると森と湖が見えて、夜は真っ暗な闇となる。

                                                

夕食開始、レストランの窓の外はまだ明るい

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生ビールがおいてないのが、唯一残念。 グラスワインを頼む。

                                                

一品一品、サービスを受けながら食べる心地の良さ。

日頃とは全く別世界にいることが、一番のご馳走である。

                                                  

ここでは、パンをこのようにして出す。

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ナプキンの下には皿があるわけではなく、テーブルクロス上に直接置いてある。


焼きたてのパンが湿気ることを防ぐ、心遣いなのだろう。

客がお酒をちびちびやって、パンに手がつかなければ、ウェイターがやってきて

パンをナプキンでくるんでしまう。 

まあ、そうやってもいずれ冷えてしまうとは思うが、気遣いは嬉しい。

                                                

コースが終わりかける頃、窓の外にはたそがれがしのび寄る。

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良き色合いになってゆく戸外を楽しみながら、ゆっくりと味わう楽しみ。

どんなに酔っ払っても、階段を上がればそこは自室。 ベッドに倒れこむだけだ。

                                                

子育てと仕事に追われ続けた若い日、こんな誕生日がいずれやってくるなんて

想像がつかなかった。

幸せを満喫する。

                                                 

窓の外は、あっという間に暗くなってゆき、室内が窓ガラスに映りはじめる。

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デザートが出て、ゆっくりとした時間も終わった。

満足とともにディナーを終え、つい「今日は誕生日なの」と言うと、ワインはサービスして

もらうことになった。 わぁ、ありがとう!

                                                    

翌朝は雲ひとつない晴天で、新しい日の始まりがまぶしい。

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さて、また一つ齢をとったか。

願わくば、良き人との出会いが今後もあるように。

人生は、人とのつながりで出来上がってゆくから。

                                              

帰ったら、お花が届いていた。

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6月は、父の命日・祖母の命日・自分と次女の誕生日、と記念日が多い。

お花は、以前の社員であった人からの、父の命日へのお供えだった。

亡くなってから24年になる。

生きていれば99歳、毎年お供え下さる人も、かなりの年齢のはずだ。

電話の向こうで、「私が生きている限りは供えさせて頂きます」とおっしゃる。

こういうのが、人とのつながり。

                                             

生きている間に、金銭勘定を外れたところでのつながりを、いくつ作れるか。

そう考えながら、一つ齢を重ねた。