河口の夜明け
夜明け前から河口にいる。
ここは、大きな気水湖に流れ込む川の出口。
マガンの群れが湖面を飛び立ち、エサ場の田んぼへやってくる、毎朝の儀式が始まるのだ。
雲を割って朝日が差す。
湖水の上、はるかから、何百何千というマガンたちがこちらへ飛んでくる。
竿になり
鍵になって。
川面ではコハクチョウがここをねぐらとし、ゆっくりと朝を迎える。
赤い風景の中のハクチョウたち。
上空ではカハハン、カハハンというガンの声、川面ではコーコーと鳴くハクチョウ
太陽が昇るにつれ、朝はにぎやかになってゆく。
冬は、彼らの季節である。
私はその美しさに浸る。
枯れ枝で虫を食べる小鳥、誰がこの尾羽に黒丸を描いたのか。
コウノトリの目の周りを、誰が赤くしたのか。
知れば知るほど、大自然の美しさに謎を見いだす。
冬のひととき、夜明けの河口にたたずむ私の心は、感動や驚きでいっぱいである。