2月のあれこれ
九州福岡にも、寒さの本番がやってきた。
最近は、長引く風邪をひいたり疲れたり、年齢を感じることが多くなったが、
体調の良いときには、福岡城を通るコースで出勤する。
・
天守閣はないのだが、櫓(やぐら)だけでも城の気配を濃く味わうことができる。
見上げて歩くのは、なかなかに良い気分だ。
・
城を横に見る区域を過ぎると、堀に出会う。
冬景色のお堀には、枯れ果てた蓮が群生してさびさびとしている。
ここでバスに乗り、座席の上から堀に浮かぶ鴨を見ての出勤は、気分が良い。
・
・
冬は戸外で山や野鳥を楽しむ機会が少ないが、アンティーク食器をネットで探したり、
小さな楽しみで日々を過ごしている。
イギリス製のカップは、130年前のものだ。 ヒビが入っているので安かった。
手書きの草花に私は弱い。
ここに描かれたエリカや野ばら、名も分からぬ野生の花を見て、子供の頃に読んだ童話の
世界が一気によみがえったのだ。
これはエリカの花だが、少し大きくなってから読んだ「嵐が丘」は、ヒースの咲く
イギリスの荒野が舞台だった。
ヒースって何だろう?と思いながら読んだのだが、エリカはこのヒースの一属である。
コーヒーを飲みながら、古い物語や童話、更には子供の頃の「自分の世界」を思う
ひと時は、豊かな時間である。
・
・
先日は、近くの神社で蚤の市が開かれていた。
古いものに興味をもったついでにと、行ってみる。
ここの家はフォークが少ない、と娘が言っていたのを思い出して、なくなりそうにない
長い柄のついたものをバラで2本買った。
6本セットのものもあったが高いのだ。 少しづつバラで買い足していくことにしよう。
フランスの新聞紙で包んでくれた。
向こうまで買い付けに行くの? そうなんです。
まだ若い女性の店主がそう言う。
商売は大変なのかもしれないが、なんか楽しそうだな。
好きなことをやっている人の持つ、明るいオーラが出ていた。
世の中は広く、知らない世界がたくさんある。
生きていることはなんと楽しいのだろうか、そう思いつつ寒さの底を凌いでいる。