昔の仲間
久しぶりに東京へ遊びに行った。
毎年、大学のサークルOB会が行われているのだが、今年は同期が揃うという。
行ってみよう、みんなどんなにしてることか。
4時に集まったのは昔ながらの喫茶店。 片隅には勉強している学生。
三々五々、同期の友人たちが階段をぎしぎし言わせてのぼってくる。
いやあ、みんないいおじさんである。
おー元気だったか、変わらないなあ、卒業以来だねえ、いろんな言葉が飛び交ったあとは
学生時代に一瞬で戻る。
○○君の家にみんなで遊びに行ったことあったね、馬小屋の上に部屋があって
あれは物置。 いくらなんでも馬はいないよ
男体山に行ったよな
下りがたいへんだったね。 夜、鹿が啼いてた
後輩の○○がキセル乗車でつかまってサ、とばっちりでみんな駅長室に連れていかれた
そんなことあったのか あいつ今校長先生だぜ
とめどなく話は続き、おじさんおばさんであることを忘れて、心は学生に帰っている。
今よりずっと学生は貧しく、そのことが当たり前で誇りだった時代。
鈍行列車の床に寝て、夜明けから山を目指した。
テントを張ってご飯を作り、一緒に食べて眠った仲間である。
翌朝起きると10時だ
電話を入れてみる
ゆうべはごめんね、5期の先輩たちとお茶飲んでそのままホテルに帰って寝てた
俺達今、学食でビール飲んでるとこだよ 3期の先輩もいるよ
また合流。 朝からビールだ。
お腹が空いているので、食べ物をとってくる
ハンバーグ丼に味噌汁、おかず3種で590円だったが、昔の学食とは比較にならないくらい
美味しかった。
昨日あれだけお喋りしたのに、今朝は新しい話題で盛り上がる
毎年持ち回りでねえ、各自の地元へ行って山に登ることにしようや
俺歩けないからさ、温泉もつけてよ 登らないで待ってるよ
1泊目は懇親会にしてヨ、2日目に登ろうや
心配だなあ、懇親会だけで終わるんじゃないかな
あら、私はちゃんと登るから
学食は立派で、そばのテレビでは「就活用の眉の描き方」が流れている
これが今の学生生活なのだな。
雨の中を、ちょっと散歩してみる
キャンパスに隣接する庭園に、出陣学徒の碑があった。
学生時代には気づきもしなかったが、神宮での出陣式を映画でみており、現在はその辺の
事情を理解できている。 痛ましいことだ。
雨に濡れた献花が美しかった。
昔の仲間は値高い宝だ。 過去にさかのぼって作ることが もうできないから。
来年、長野県で1回目の同期会をやることになった。
オレ腰が痛いから、と言ってた彼は、よし目標ができたからリハビリするぞ、と宣言した。
楽しみなことである。