石垣島のアカハラダカ
石垣島の友人と電話で話していると、
「もうすぐアカハラダカが渡っていくわよ。」
その言葉にピーンと反応して、え、行こうかな。
来たら? あっというまに決まった。
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私が鷹にはまったきっかけは、アカハラダカである。
朝鮮半島から、日本の西をかすめて沖縄列島を経由し、南へと渡っていく
アカハラダカの群れは、身体が小さいためあっという間に頭上をかすめて飛び去る。
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来るよ〜 そう言われて構えたレンズは、ようやく1枚しかピントが合わず、それでも
鋭い眼で見下ろす姿が何とか残っていた。
その姿と、飛び去るスピードに「鷹ってすごい」と思ったのがキチガイの始まりである。
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朝8時。
登っていく車の窓から、もう飛んでいるのが見える。
急いで急いで。
群れが頭上を過ぎてゆくが、こんなに近いのは初めて。
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お腹が真っ赤な雄である。
400ミリレンズを持参したが、カメラは久しぶりの機種で連射モードにできない。
次々に来るのに、1枚ずつしか撮れなくてあせる。
近くにいた人が同じメーカーなのを見て、教えて下さいと食い下がると
親切に切り替えてくれた。
あとで分かったが、有名なプロだった。
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目の黒い、1枚目は雄だが、黄色いこれは雌。
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セミをぶら下げて、食べながら行くもの
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脱糞しながら行くもの
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群れて鷹柱を作り、上昇して台湾方面へ飛んでゆく。
また、戻ってくるものも多く、どれだけが渡って行ったか判別は難しい。
秋の八重山諸島の真っ青な海の上を、お腹の赤い鷹たちがビュンビュンと飛ぶ日。
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自然はなんて美しく、不可思議なものか。
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鷹たちは、誰に命ぜられたでもなく、しかし確実に毎年この儀式を行っていく。
3日間通って、観察の皆さんとすっかり仲良くなった。
帰りの挨拶は、「また来ます、よろしく。」
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鷹の渡りを見る楽しみに勝るものは、いまだ見つけられずにいる。
が、匹敵するものならば、それはある。 山に登ることだ。
私はやはり、自然の中にいることが好き。
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