若いお客
年末に子どもたちが帰省したので、その友人達がわが家に遊びに来た。
東京から帰ってきて、空港から実家にも寄らず直行してきたAさんは、2人の子供連れ。
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わが家の2人の孫たちも入れて、にぎやかなことこの上ない。
客間に入ってもらう予定だったが、ここでいいですと、リビングに大人と子供合わせて9人。
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Aさんは、高卒後上京して芸術系の大学に入り、学んだことに関連した仕事についた。
早々と結婚して、郊外に一戸建ての家を建て、往復3時間をかけて通勤している。
保育園の送り迎えをね、最初は全部一人でやってたんだけど、ダンナに朝の送りだけ
頼んだら、こんなに楽なんだーって思って
忙しいから痩せちゃって、それが悩み
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私も、身に覚えがある。
おばちゃんもね、子育て中はあばら骨が見えて、胸の開いた服なんて
着られなかったよ
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育児真っ最中の彼女たちは、仕事と2つの荷物を背負って大変そうだ。
でも、必ずいつか大きな成果が手に入るよ、だから頑張って。
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私さ、子供の頼みに逆らえなくて、何でもやっちゃう
馬になってる時が、一番奴隷感がある(笑)
生まれた時から家が自営業だったからね、親にかまってもらえないストレスで
中学の頃はすっごくイライラしてて大変だった
お母さん、夜いないことも多くて。
このままうちに居たら自分はダメになる、出なきゃと思い続けてたの
だからその反動で、わが子の面倒を見すぎるんだと思うわ
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子どもの頃からよく知っているAさんだが、そういう思いをしていたことは誰も知らず、
淡々と話すのを、頭を垂れる心もちで皆が聞いた。
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小さい頃から遊びに来ていた子どもの友達って、いいものだ。
「え、こんなに狭かったっけ。昔はものすごく広いと思ったけど」
「あーここで草スキーごっこして遊んだ」
そう言いながら、みんなで庭を歩いている。
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帰る時、「また来ます」と私に向かって言う。
「こんどは、ご飯食べにおいで」
「はい来ます」
いい年の立派な社会人であるが、そう返事した時、彼女たちは小学生のあの日に
帰っていたと、そう思う。
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きっと来てね。 頑張ってご馳走するよ。
みんな、大人になったね。 苦労したんだね。
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tyo