街なかの秋
仕事帰りに公園を通ると、ずらりと並んだ桜並木が色づいていた。
ここでは赤く
ここでは黄色く
春には花見で華やぐ場所に、今日はひそとした初冬の陽が差している。
クリスマスや年末のにぎわいには少し早く、さわやかな秋も去った半端な時期。
並木を通り抜けて、ひとり大道芸の練習をする青年を見た。
近づくと気が散るだろう。 離れて見ている。
ピンク色のまりのようなものを、空中に投げ上げて紐であやつる。
ふわっと上がったピンク色が、紅葉を背景に浮いては沈む。
どんな場所でこの芸を披露するのだろうか。
静かな夕方のとき、見ている私と青年ひとり。
街の中の公園にも、季節は過ぎてゆく。
もうじき終わる一年を前に、今年自分は何をしたろうと、問いかけてみる。
少しでも進歩があっただろうか。
少しでもあったとしたら、それ以上嬉しいことはないのだが。