サシバの渡り
今年の秋は、どうも鷹の渡りウォッチングに不満足。
お天気が良すぎて高〜いところを豆粒大で渡って行く・少ししか飛ばない。
アカハラダカもそう、ハチクマもそうだった。
もう10月、これが最後のチャンスと、サシバの渡りを見に行く。
早朝5時半、現地着。
駐車場には泊まり込みの車が何台か、でもまだ誰も外にはいない。
これ幸いと、三脚を立てて場所取り。カメラにレンズをセット、さあ準備万端ですよ。

東の空が白んだと思ううち、みごとな朝焼け。
真っ赤な空がだんだんとピンクに薄らぐ中、サシバが飛び立つ。
あちらの谷から1羽、こちらからは2羽、3羽。
6時過ぎで光線不足、写真にならぬことを承知で写す、主役はこの美しい朝焼けだから。
サシバはそのなかで舞いあがり飛び立ち、懸命に生を謳う。

鹿児島の南端から南西諸島を目指すのです。そしてさらに南へ。
あっという間に数十が飛ぶ、寝不足も忘れる充足感。
カラスが例のごとく付きまとってつつく。
「あのカラスが。憎たらしい」との声、ホント。

小回りのきくカラスは翼短かく、きかないサシバは長く、でもそれゆえ速くて、
長い飛行にも耐える。
素早く、攻撃者の手の届かない高みへと昇りゆく。

サシバのどこが好きかというと、羽を広げたときのスマートな姿、そしてピックイ−と
いう、のどかとも思える声。最初のピと最後のイにアクセントがくる、独特な鳴き方。
でも秋には鳴きません。黙って彼らはひたすら南を目指す。
あっという間に姿が見えなくなる、あのいさぎよい素早さ、これがタカを好きな理由の一つ。

さてさて、ひとしきり朝の飛び立ちが終わり、こちらも持参の朝食。
ポットの暖かいお茶が嬉しい季節になった。
見回すとまわりは知り合い同士、お早うございますの声しきり。
お隣の会話が耳にはいり、「え、あの○○さんですかぁ」とご挨拶。
友人のまた友人は、当然私の新たな友人ですよ、よろしくお願いします。。
カメラの使用法を教えてる声に、見ず知らずながらも傍に行って教えを請う。
向こうも親切です。ここに居合わせたもの同士、仲間意識は高い。
「ホラあっち飛んでるよ!」との声で中断、皆の駆け戻る足の速さ。
ウォッチャーが多いと、誰かが教えてくれるので助かります。
昨年より断然豊作、よく飛んでくれて珍しくメディアを一杯にする。
撮り方にも個性があり、連写するヒト、いっぱいに狙ってから撮るヒト、私は後者。
だって、狙ってうまく撮れると快感でしょ!時に待ちすぎてチャンスを逃すこともあるのですけど。
そして、ひまな時にピンぼけは全部削除。
ピントが合ってないのは写真じゃない、というのが信条。
惜しいな、と思うのもすべて執着を捨てて削除、思い切りのよいのが私の身上。
証拠写真は別ですがね。

わーきれいに撮れた、と喜んだものの、小太りに写っている。でもこれを削除する勇気は
ないな、大事に持ち帰ろう。
いつかきれいに撮れるときまで、パソコンの中に大事にしまいましょう。
昼を過ぎるとだんだんに高いところを飛ぶようになり、写真にはならない。
見切りをつけて、ねぐら入りするサシバを待ち受けようと下山。
あたりをつけた所には、すでに先着2人。
わ、大阪からですか。え、先週は日帰りで? 私なんか足元にも及ばないサシバファン。
しかしヤマは外れ、ここには降りないでみな先へと飛ぶ。
しかし収穫ゼロではありません。
もうお一人に教えているのを聞き逃さない。「今お話なのは色温度のことですか?」とくらいつくと、
この方も親切に教えてくれる。
「ホテイアオイの紫が青く写るんです、どうすれば?」との質問に、言葉で教えるばかりか、
ご自分が写したホテイアオイを見せてくれる。
なーるほど、きれいなうす紫。私も、メモを取りながら聞き逃さない。
昔はデジカメじゃあないからね、失敗は許されない、だからカメラと同じくらいの値段の
カラーメーターを買って、見比べながら撮ったもんだよ。
そうですね、便利なものに慣れて今では勉強しないですよね。有難うございます、
お会いできてよかった。
さてさて、今日も暮れていく。
秋の夕景のなか、では私も家路につきましょう。
私はこうやって車で楽に帰れるけど、彼らの旅は明日も続く。
サシバよ、無事に飛べ!海を越えろ!
そして、また来年会おうね。
きっとだよ。

終わりよければすべて良し、今年のタカシーズンもよかったね。