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南アルプス2

「ハプニングがあってね、あした山を下りることにしたの」

聖岳(ひじりだけ)の頂上に座っていた彼女は力なくほほえみます。


昨晩の小屋で私と意気投合した3人組、その中でも一番元気な女性でした。

今日は2日の行程を1日で歩き、次の日には南アルプス最南端の山まで往復してくる、と

張り切っていたのに。


誘われましたが、初日に2日分を歩いた私にその自信はありません。

「それじゃあ、戻ってきたときに合流できれば静岡まで車で送るわよ」と有り難い申し出。


予約していたタクシーを、通信可能な場所でキャンセルしようと思ってた矢先です。


倒木を越えようとして岩で膝をぶつけたら裂けて、縫合が必要な傷ができた、血が止まらないと。


実に、山で恐いのはこういうアクシデント。


3人のうちただ一人の男性は脚が遅く、まだ到着せず。

彼は通常の日程で行くので、彼女たちより1時間以上遅れて出たし。

その後私が出会い、お連れのケガのことを伝えることができました。頂いた好意へのお返しが

できたかな?


結局、この3人は午後一緒になり、その日のうちに山を下りたようでした。


いろんなことがありますね。

彼らとはこうやって別れてしまいましたが、まあ自分のペースで行けばいいこと。


日の出とともに歩き始め、思いのほかきついアップダウンにアゴを出しながら

憧れの稜線を歩きました。


南アルプスは山塊が大きく、上り下りが激しいのが特徴。

北アルプスはもう少し年を重ねてからでも登れるかもしれないけど、南は急がなきゃ、

そう考えていたのはこのことが理由でした。


若かりし頃望見した赤石からの尾根は、決してゆるやかに続くものではありませんでした。

一つ一つの頂上を踏んではまた下り、今日は何キロ歩いたんだろう?

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                     こういうのをいくつか越えました


最近は百名山ブームで、ピークを踏む事に重きが置かれているような。

でも、私はこの稜線を自分の足で踏みしめたかった、自分の足で歩き通したかった。


今日の最後の大きなピークが聖岳、3013M。今回、ここが一番堪(こた)えた。

しかし、登ってしまえばケロリ忘れてしまうもの。

頂上の風は涼しく、越えてきたルートを望めばなんともいえぬ充足感に

「私だってまだ捨てたもんじゃないワ」と心広がる。


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                     向こうは赤石岳、昨日の写真の裏側が見えているのです
                      つまり、あれを越えたわけ。素晴らしいでしょう?

真っ赤に山を彩るのは、ウラシマツツジ

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                     ウラシマは裏縞だとか、裏側を見るのは忘れましたが


さて、2日目も無事終えることができました。

今日は2時半、小屋着。

さて、今日の同宿ではどんな人達に会えるでしょうね?

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